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SEISAKU NAKAMURA

滋賀県情報

2018.06.14

 

琵琶湖で「生きる」。

若手漁師による新たなムーブメント

 

悠々と水をたたえる琵琶湖。

その水は、農業用水や近畿圏 1,450万人の飲用水として多くの人に利用されています。

魚介の種類も豊富な琵琶湖は、まさに「命を育む湖」。

そんな琵琶湖を一番身近に感じ、未利用魚*にスポットライトをあてるなど、

湖魚の魅力を発信する若手漁師の中村清作さんに、その取り組みについて伺いました。

* 未利用魚 :様々な理由で流通しない魚のこと

漁師になったきっかけを教えてください。

 

うちは祖父の代から続く漁師一家です。10 代の頃は工場で働いていましたが、蛍光灯の下で一生働くのはイヤだと仕事を辞めました。かといって家業には興味がなかったので、家でゴロゴロしていたら、「魚を獲るのを手伝え!」と母親にたたき起こされましてね(笑)。ちょうど桜のシーズンが終わり、小鮎漁が忙しくなる時期でした。実際にやってみると網に魚がかかれば素直に嬉しいし、長年の経験と勘による父親のすごさを知りかっこいいと思いました。それに、広大な琵琶湖でお天道様を浴びて仕事できるのが、何より気持ち良かったんです!

 

家のすぐ裏に琵琶湖がひろがる。中村さんにとって琵琶湖は裏庭のように身近な存在。

 

 

全国の漁師が自慢の魚を持ち寄る『Fish-1グランプリ』で日本一に輝いたと伺いました。

 

昔は、滋賀で魚といえば湖魚が当たり前でした。どの家庭でも普通に食べられていたし、漁師が獲った魚は地元の魚屋が買ってくれていました。けれど、時代の流れとともに人々の魚離れが進むと、需要と供給のバランスが崩れ、湖魚の価格は下がってしまいました。さらに、自然環境の変化などもあり、いまや湖魚は大変貴重な存在になりつつあります。貴重な資源が底をついたら、漁師は生きられません。豊かな琵琶湖を後世に残し、自分たちも生き延びるためには、獲ったけど売れなかったと嘆くのではなく、湖魚を正当に評価してもらったうえで、求められるぶんだけ獲るという流れが必要です。湖魚は、私たち漁師が最高の状態で出荷し、ちゃんと調理すれば間違いなく美味しいです。それを実証できたのがFish-1グランプリでした。東京の人たちに、目の前で「美味しい!」と言ってもらえたのは本当に嬉しかったです。

 

「網をできるだけ長く使いたい」と大切に扱う。

 

 

これからの取り組みについて教えてください。

 

若手の漁師仲間たちと「ニゴイ」の普及に力を入れたいと思います。ニゴイはコイ科の白身魚です。ハモのように淡白でとても美味しい魚ですが、鮮度が落ちやすいために、これまで流通することはありませんでした。そこで取り組んでいるのが、獲りたてのニゴイを「神経締め」することです。神経締めすることによって、これまで1日しか保てなかった品質が、2日保つことがわかりました。しかも、徐々に白身のアミノ酸量が増えるので、2日目に刺身で食べるとうまい。骨が多いので刺身にできる部位は限られます。そのほかの部位は骨切りして、天ぷらや擦り身にするのがおすすめです。ぜひ一度、なんの先入観も持たずに新鮮な湖魚を食べてみてください。きっと、これまでの常識が覆ります!

 

最高の品質で出荷するために、ニゴイは直ちに網から外され、船のいけすに放たれる。

 

 

 

■ PROFILE

 

中村 清作(なかむら せいさく)さん

中村水産代表

1985年生まれ。祖父から続く漁師の家業を20歳のときに継ぐ。

琵琶湖北西部の海津周辺で、主に小鮎、セタシジミ、フナ、ニゴイなどを扱う。

「滋賀県漁業協同組合連合青年会」会長を務め、若手漁師の育成、

未利用魚の普及、湖魚の魅力の発信に力を入れるほか、料理人とコラボして湖魚を食べる会などを不定期開催する。

 

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撮影・山崎 純敬 / SHIGAgrapher

ライター・大山 真季