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CHIKARA OMIYA

滋賀県情報

2018.08.08

 

花火に彩られる水上の夏祭り

– 時空を超え語り継がれる神代の物語 –

 

1300年以上の歴史をもつ近江國一之宮「建部大社」。
日本武尊をお祀りし、出世開運、除災厄除、縁結びのご利益で親しまれています。
夕暮れに神輿が御座船で往来し、花火で迎えられる「船幸祭」は夏の終わりの風物詩。
神事に携わり、船幸祭を支える神職の大宮さんに祭りの見どころと意義を伺いました。

 

 

―船幸祭の見どころを教えてください。


船幸祭は、日本武尊が国土統一のために、相模国(現在の神奈川県)から船団を従え海路をたどられた日本書紀の故事を瀬田川で再現し、その功績を伝えるとともに瀬田川の安全を祈願する祭りです。夕刻、神輿が御座船に乗ると、約20隻の船団を率いて5km下流の御旅所でお供えや稚児神楽などの神事を行います。船団は両岸のかがり火に誘導されるかたちで帰途につき、御座船が戻ると無事の帰りを祝って神輿が境内に戻るまでのあいだ1,000発の花火があがります。水面に船団の光やかがり火が映える様は厳かで、その様子をぜひ唐橋から見ていただきたいです。毎年、県内外から約4万人の方がお見えになります。

 

瀬田浜を出た船団は5km下流の御旅所を目指す。

 

 

―どのような気持ちで神事を行いますか?


とにかく安全に終わるようにお祈りしています。どの祭りも「ああ、いいお祭りだったね」と言えるのは、事故がなかったときだと思います。また、両岸のかがり火は地域のご有志によって焚かれるのですが、船上からかがり火を見ると、この祭りが建部大社や氏子だけのものではなく、地域の皆様に支えられていることがひしひしと感じられ、とても感慨深いです。祭りにお越しの際は、花火だけでなく祭り本来の意味まで理解してご覧いただくと、より味わい深い体験をしていただけると思います。

 

無事に帰途した船団を迎える花火で祭りはクライマックスに。

 

 

―祭り本来の意味を理解してもらうためには何が必要でしょう。


“語り継ぐこと”だと思います。1300年という歴史のなかで、私が仕える約40年はほんのわずかです。しかし、この40年が一旦途絶えてしまうと、祭りやその意味がわからなくなってしまいます。また、祭りは氏子や地域の方々のご協力があって初めて執り行うことができるので、そうした繋がりを大切にしていきたいです。日本武尊は、自らの道を切り拓くなかで、多くの人を助けたと同時に多くの人に助けられた、恋愛だけでなく様々なご縁を結ぶ神様です。由緒に従い、皆さまのご縁も結んでいきたいと思います。

 

日本武尊の土鈴。愛らしい表情が印象的。

 

―建部大社はこの地になくてはならない存在なのですね。


現代は昔に比べると、多くの情報にあふれて時間の流れが速いですが、神社はまるで時間が止まったようにゆっくり感じると思います。このゆったりとした時間を大切にしてほしいです。ふと立ち止まって自分に立ち返り、「来て良かった」と思っていただければ神主冥利につきますね。滋賀は歴史的にも重要な場所。ぜひ当社だけでなく、色々なところへ足を運んでいただきたいです。

 

■ PROFILE

 

 

大宮 力(おおみや ちから)さん

建部大社 禰宜(ねぎ)

1975年、滋賀県栗東市の大野神社に生まれる。

國學院大學で神官の資格を取得後、金刀比羅宮(香川県)、道明寺天満宮(大阪)を経て建部大社に赴任。

自らを「神社バカ」と名乗るほどの神社好き。

休日は、全国の一之宮巡りや日本武尊を祀る神社巡りなどに多忙な毎日。

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撮影・山崎 純敬 / SHIGAgrapher

ライター・大山 真季