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ここから、ひろがる滋賀のストーリー
TEPPEI HAYAKAWA

滋賀県情報

2018.10.12

 

人と自然の調和・ていねいな暮らし

– 切絵作家 早川鉄兵さんがみた滋賀の魅力-

 

本紙「SHIGA’s GUIDE」が誕生して一年。

毎号の表紙を飾ってきた、米原市在住の切絵作家早川鉄兵さんの作品は、

緻密で繊細なデザインと生命感あふれる作風が特徴です。

早川さんの目に滋賀県の魅力はどのように映っているのでしょう。

廃校となった小学校のアトリエでお話をうかがいました。

 

 

―これまで12 回にわたり「滋賀」を表現してこられました。どのようなご感想をお持ちですか?思い出深いエピソードはありますか?

 

滋賀県に移住して8年になりますが、まだまだ知らないことが多く、祭りなどの伝統文化や食文化、モノづくり、自然など、この仕事を通して改めて滋賀県の奥深さを感じています。知らないことはとことん調べてモチーフを考えるのですが、なかでも「びわ湖真珠と湖魚とクリスマス」(201712月号表紙)というテーマをいただいたときは、その思いも寄らない組み合わせに、作品づくりは困難を極めました。完成してから「何かが違う」と思い、ゼロから作り直したほどです。

 

 

子どものころよく作ったという立体のキリン。

 

 

作品をつくるうえで気を付けていることはありますか?

 

滋賀県のことをご存知ない方にも、その魅力がわかりやすく伝わるように心がけています。伝えたいことは山ほどあるのですが、それらを細かく表現しすぎると、かえって見る人に伝わりにくくなってしまいます。それに、地元の人にとって当たり前のものが、県外の人にとっても当たり前とは限りません。ですから、たとえば琵琶湖のモチーフを使用するのは極力避けるなど、何を残して何を削ぎ落とすかということは常に考えていますね。

 

表紙は早川さんの作品にデザイナーがレイアウトや配色をする。

 

 

―移住者という外からの目線も持つ早川さんだからこそできる表現なんですね。そんな早川さんが感じる滋賀県の魅力はどういったところだと思いますか?

 

脈々と受け継がれた、人と自然の調和です。人も自然も穏やかで、田畑が身近にあるその暮らしからは「いつも通りちゃんとしよう」という「ていねいさ」を感じます。それは年配の方がよく使う「ありがたい」という言葉に象徴されているように思います。何かをしてもらって「ありがとう」というのはよくあることですが、「ありがたい」は人間の都合ではどうにもならない自然に対する畏敬の念の表れだと思います。地域ぐるみの付き合いも残っていて、そういう気を張らないあたたかさが、僕の住む米原に限らず滋賀県にはあるようです。そのおかげで、ぼくの「帰る場所」はここなんだと思えます。

 

 

これまでの原画を前に「いつもどんなお題がくるか楽しみです」。

 

 

―今後の目標をお聞かせください。

 

これからもSHIGA’s GUIDE の表紙を通して、少しでも滋賀県の魅力が伝わったり、何かを知ってもらうきっかけになったりすれば嬉しいです。ひいては、作品を通して人を幸せにすることがぼくの仕事だと思っているので、作品を見た人がクスッと笑ってくれたり、そこに会話が生まれたり、ということを続けていくことができればいいなと思います。

 

作品は紙だけにとどまらない。「家具屋で見習いをしていたので木を切ることも出来ます」。

 

■ PROFILE

 

 

 

早川 鉄兵(はやかわ てっぺい)さん

切絵作家

 

1982年 石川県金沢市生まれ。大阪で写真家をしていた際に訪れた米原市で、人と自然の調和のとれた暮らしに感銘を受け、2011年に地域おこし協力隊として米原市の山間集落に赴任。里おこしイベント「伊吹の天窓」で切絵を披露したことがきっかけで、現在は切絵作家として全国的に活躍する。

 

 

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撮影・山崎 純敬 / SHIGAgrapher

ライター・大山 真季