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滋賀県情報

2020.06.10

45年間、農薬・化学肥料不使用

かたぎ古香園(こうかえん)7代目片木隆友さんが語る朝宮茶のこれから

 

滋賀県と京都府の県境から近く、日本で最古級のお茶の産地として知られる信楽町朝宮地区。

標高300~400mの山に囲まれた霧が発生しやすい環境で、香り高い良質なお茶が生産されています。

そんな朝宮で、全国に先駆けて農薬と化学肥料を一切使わない栽培に取り組んでこられた

かたぎ古香園7代目の片木隆友さんに、朝宮茶のこれからについて伺いました。

 

―かたぎ古香園さんの農薬・化学肥料不使用のお茶は、どのようなストーリーから生まれたのでしょうか。

 

朝宮は昔から良質なお茶の産地ですが、そのほとんどは問屋を介して他府県のお茶とブレンドして売られるため、一般の方にはあまり知られていません。祖父と父は、せっかく丹精込めて育てたお茶を、もっとたくさんの方に知ってもらいたいと数十年前から直接販売をはじめました。当時は大量生産のために農薬や化学肥料を使うのが当たり前だった時代。うちも農薬を使用していましたが、農薬をまくたびに体調に異変を感じていた父は、お客様に毎日お茶を安心して飲んでいただきたいとの思いから、1975年に約2.6haもある畑をすべて農薬・化学肥料不使用栽培に切り替えました。はじめの2 年間はまったく収穫できませんでしたが、生態系のバランスがとれ始めると木々は次第に回復したそうです。日々雑草と闘いながら、近年は肥料にもこだわり、ゴマ油や菜種油の搾りかすなどから作った植物性肥料のみ与えています。こうして大切に受け継いできた木の多くは樹齢50年になります。なかには樹齢100年の畑もあります。それでもおいしいのは土の力でしょうね。

 

 

年季の入った茶箱が長い歴史を物語る。

 

 

―先代はたいへんな覚悟で安心して飲めるお茶づくりに挑戦されたのですね。隆友さんはどのようなことを目標にされていますか?

 

ぼくの目標は、朝宮産のお茶をすべて「朝宮茶」として販売できるようにすることです。農薬・化学肥料不使用のお茶は、ここ数年でようやく一般の方に認知されてきました。しかし、この先もっと評価してもらえる可能性を感じています。現在、朝宮では35 軒中7 軒の茶農家が農薬・化学肥料不使用栽培に取り組んでいます。さらに地域ぐるみで朝宮茶のブランディングに取り組むために、栽培方法や販路拡大のノウハウは惜しまず提供したいと考えています。

 

 

葉が薄くやわらかな朝宮茶は浅蒸しで香り立つ。

 

 

―紅茶など独自の商品開発にも取り組まれていますね。

 

安心して飲める国産の紅茶がほしいというお客様からのご要望で、20 年前からオリジナルの紅茶づくりに取り組んでいます。香りが良く、渋みのないすっきりした味わいは、海外でも評価が高いです。また、抹茶は石臼でひくことにこだわっています。石臼でひいた抹茶は角が取れてまろやか。いずれのお茶も朝宮茶がもつ香りを大切にして、手間を惜しまず製茶しています。それでも、より多くの方に安全なお茶を飲んでいただきたいので、価格は極力抑えています。ぜひ、ご自分の好みに合ったお茶を見つけて楽しんでください。

 

 

様々に加工されたお茶たち(上から時計回りにほうじ茶、紅茶、煎茶、在来種の紅茶)

 

 

■ PROFILE

片木 隆友(かたぎ たかとも)さん

かたぎ古香園7代目

江戸末期から続く茶農家に生まれ育つ。「うちが普通の茶農家だったら跡は継がなかった」と語る。朝宮茶のブランディングのため、近年は海外向けプロモーションに力を入れるほか、同世代の茶農家とともに「ASAMIYA TEAシリーズ」も展開。高い評価を得る。

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撮影・山崎 純敬 / SHIGAgrapher

ライター・大山 真季 / ノギラボ