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HIROAKI TANAKA

滋賀県情報

2020.05.08

祭り好きによる、祭りのためのクラフトビール工房

「HINO BREWING-ヒノブルーイング-」

 

5月―。日野町は、850 年以上の歴史ある伝統行事「日野祭」で大賑わい。

そんな日野町で「祭りのためのビール」を作るのが、“生粋の祭り馬鹿”と自らを称する、

日野町生まれの田中さん、イギリス人のトムさん、ポーランド人のショーンさんです。

ヒノブルーイング(株) 代表取締役の田中さんに、ビールに込められた思いを伺いました。

 

― 「祭りのためのビール」とは、どのようなビールでしょうか。

 

飲めば飲むほど祭りに貢献できるビール、それが僕たちの目指すビールです。ビールが祭りの楽しさを伝えてくれるツールとして全国に広がって、面白そう、行ってみたい、神輿を担いでみたい、そう思ってくれる人が増えることを願っています。ゆくゆくは、利益の一部を祭りに還元したいとも思っています。

 

 

ヒノブルーイングを支える3名:左から田中さん、ショーンさん、トムさん。

 

 

―どのような着想から生まれたのでしょう。

 

僕は大学でまちづくりを学んだあと、前職で伝統文化を継承する事業の立ち上げと、それを経済活動として循環させる経験を積ませてもらいました。30歳を機に実家の酒屋を継ぐためUターンし、若衆頭として日野祭に関わるようになると、祭りが人手不足や財政難で存続の危機にあることを知りました。それと同時に、祭りが親戚のような一体感をもたらすことも知り、大学で学んだまちづくりの原点を再認識したのです。また、酒屋で祭り用に買われるビールがどれも同じことに疑問を感じました。本来、豊作祈願や収穫祝いの祭りは、地元の食材で醸したお酒を神様にお供えし、その恩恵を地域の人たちと分かち合うもの。ビールでそれが実現できれば、祭りの古いしきたりを嫌う人も祭りの原点に戻れるのではないかと思いました。

 

 

「 ビール造りはおもしろい。どこまでも深く掘り下げることができる。」と、ショーンさん。

 

 

―日野町だからこそ実現できた部分はありますか。

 

日野祭を通じて、クリエイティブ・ディレクターのトムと、ブラウマイスターのショーンに出会えたことは大きかったです。祭りの楽しさを伝えるうえでトムの創造力は欠かせませんし、思いを味に反映するうえでショーンの勉強熱心な姿勢と技術力も欠かせません。実際に販売されると、地元の方が想像以上に買ってくださっています。「日野祭のビールができたから、よかったら飲んで!」と親戚や知人に配ってくださるのです。昨年、町内でビアガーデンを企画したときには、祭りでは交わるはずのない別の曳山の者同士が笛や太鼓でセッションして盛り上がり、これも本当に嬉しかったです。

 

 

おしゃれなボトルに描かれるのは「ヒノシシ」。馬見岡綿向神社の神の使いとされる猪にちなんだ。

 

 

―今後、どのような取り組みをされますか。

 

ビール市場の99%を大手4社が占め、1%を300社以上のクラフトビール会社が分け合っている状況を考えると、業界全体で盛り上がっていきたいです。そのなかで、僕たちは祭りのためのビールを広めていきたい。そのための楽しい仕掛けを日々考えています。地域の食材を使ったビール造りにも、少しずつ取り組み始めました。これからも祭りを盛り上げるために、ビールで地域に貢献していきたいです。

 

■ PROFILE

田中 宏明(たなか ひろあき)さん

ヒノブルーイング株式会社 代表取締役

日野町の老舗酒屋「酢屋忠」6代目。京都造形芸術大学環境デザイン学科で建築やまちづくりを学ぶ。京都の企業くろちくで伝統文化を継承する事業の立ち上げに携わり、30歳を機にUターン。南壮社の若衆頭として日野祭を盛り上げる。

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撮影・山崎 純敬 / SHIGAgrapher

ライター・大山 真季 / ノギラボ