ここ滋賀ブログBLOG

ここから、ひろがる滋賀のストーリー
HIROKO HIRAI

滋賀県情報

2021.03.20

日本酒ビギナーにおすすめ「浅茅生(アサヂヲ)」

女性杜氏平井弘子さんの酒づくり

 

水が豊かな米どころ、滋賀。この地では古くから酒づくりが盛んです。

創業360 年以上の伝統を今に受け継ぐ、大津の酒蔵「平井商店」では、

平井弘子さんが女性杜氏として酒づくりに日々向き合っています。

平井さんが目指す日本酒についてお話を伺いました。

 

―代表銘柄「浅茅生(アサヂヲ)」ですが、いろいろな種類がありますね。おすすめのお酒はありますか。


どのお酒も愛着があるので難しい質問ですね (笑)。でも強いて言うなら、滋賀生まれの食用米で醸した「浅茅生 みずかがみ 純米吟醸無濾過生原酒」は、口当たりがなめらかで後味もすっきりしているのでおすすめです。また、同じく滋賀生まれの酒米で醸した「浅茅生 特別純米 渡船」「浅茅生 特別純米 吟吹雪」は、全く同じつくり方をしていますが味わいが異なり、飲み比べていただくと酒米の個性がよくわかって面白いと思います

 

 

蔵の太い梁や使い込まれた道具が、長い歴史を物語る。

 

 

―どのような日本酒を目指していますか。


日本酒ビギナー向けの飲みやすいお酒です。それと同時に、食事をしながら楽しめる食中酒も目指しています。実は私がお酒をあまり飲めない体質なので、自分が飲みやすいお酒をつくりたいというのが根底にあります。発酵の過程でお米を溶かし過ぎないことや、もろみの温度管理を徹底すること、もろみを搾る時期を見逃さないことで、本来は味がガツンと主張しがちなお酒も、できる限りきれいな味になるように心掛けています。酒づくりは生き物相手の仕事。どのお酒も、我が子のように愛情を注いでいます。

 

 

白い袋の中には酒粕が。この酒粕を毎年楽しみにしている人も多い。

 

 

―数少ない女性杜氏として、葛藤や迷いなどはありませんでしたか。


力仕事が多いので、苦労されている女性杜氏は多いと聞きますが、私の場合は師匠が父ということもあり、あまり辛いと感じたことがありません。ただ、父から酒づくりを教わり、2年目に広島の酒類総合研究所で研修を受けると、自分は何がわからないかもわかっていないと思い知りました。そこからですね、酒づくりがすごく面白くなったのは。日本酒のことばかり考える日々を過ごし、気がつけば家業に入って13年が経ちました。4年前に子どもが生まれてからは仕事と子育ての両立に悩むこともありますが、今は父と夫が中心となり酒づくりをしてくれています。

 

 

店内の冷蔵庫には浅茅生のラインナップが勢ぞろい。

 

 

―今後に向けての思いをお聞かせください。


生産量が少ないので、県外にあまり出回らない私たちのお酒「浅茅生」ですが、 “ここ滋賀”で初めて知ったという何名かのお客様が、この店までわざわざ足を運んでくださいました。これからも、浅茅生をきっかけに滋賀や大津のことを知っていただければ嬉しいです。そして、私自身、両親から蔵を継ぐように言われたことは一度もなかったので、息子にも将来の選択肢として、この蔵を残したいと思っています。そのためにも、私たちは家族経営の小さな蔵ですが、味に妥協せず、少量生産ならではの挑戦を続けていきたいです。

 

 

■ PROFILE

平井 弘子(ひらい ひろこ)さん

平井商店 18代目 / 杜氏

大阪工業大学工学部で建築を学んだが、就職活動中に祖父が急逝したのを機に、2008年卒業と同時に家業に入る。2012年杜氏に就任。日本酒ビギナー向けの飲みやすいお酒を目指す。一児の母。

==

撮影・山崎 純敬 / SHIGAgrapher

ライター・大山 真季 / ノギラボ