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2020.12.16

伊吹山からの贈り物、幻の「伊吹在来そば」

 

12月中旬、新蕎麦のおいしい季節を迎える「伊吹在来そば」。

伊吹山の麓にたたずむ農林産物加工所〈久次郎(きゅうじろう)〉には、

休日のみ提供される「伊吹久次郎そば」を求めて、多くのファンが訪れます。

久次郎を率いる、いぶきファーム代表の谷口さんに取り組みのお話を伺いました。

 

久次郎では、伊吹大根を薬味にそえた「伊吹久次郎そば」が人気だそうですね。その特徴を教えてください。

 

「伊吹久次郎そば」は、蕎麦本来の香りと甘さが際立つ、在来種の「伊吹在来そば」を使用しているのが特徴です。ここ伊吹山の中腹では、山岳信仰の修験者によって古くから蕎麦が栽培されてきました。一時はほぼ作られなくなりましたが、集落で大切に守り継がれてきた種を譲り受け、有志のメンバーが少しずつ増やしてきました。また、その薬味として喜ばれているのが伝統野菜の伊吹大根で、高地で育てることによって辛くなるのが特徴です。大阪、名古屋、関東からも口コミでお客様が来てくださり、その数は年々増えています。昨年、伊吹在来そばがGI(地理的表示)に登録されたことで、生産者の意識もますます向上しているところです。

 

 

伊吹久次郎そば・伊吹大根おろし・季節の天ぷらのセット。

 

 

もうすぐ新蕎麦の季節ですが、今年の伊吹在来そばの出来はいかがですか?

 

蕎麦はデリケートな作物なので、天候不順や台風には毎年ヒヤッとさせられますが、今年は幸いなことに台風の影響もなく、過去最高の出来となりそうです。この冬は期間限定で、伊吹久次郎そばが百貨店のオンラインショップでも販売されます。久次郎に直接ご注文いただければ、伊吹大根とのセットも発送可能です。他にはないこの味を、全国の方に召し上がっていただきたいです。

 

 

小粒な伊吹在来そばの玄蕎麦。

 

 

よもぎの商品化にも力を入れているそうですね。

 

はい。伊吹山は昔から薬草で有名な山なんです。特によもぎが有名で、色と香りがすごく良いので自家栽培も始めました。よもぎを練り込んだ「伊吹久次郎よもぎそば」が人気のほか、よもぎ餅も予約をお勧めしたい人気商品です。現在、よもぎを熟知している12人のご高齢の方々が、採り手として活躍しています。こうして、田舎でも高齢者が元気に自信をもって働ける環境づくりが実現しつつあります。地域の素材を生かし、先祖の大事な農地を将来にわたり大切にしたい、そういう思いで始めた事業なのでとても嬉しいです。

 

 

山間の集落にたたずむ久次郎。目前には清流姉川が。

 

 

農業体験や古民家宿泊も受け入れていると伺いました。どのような方が利用されていますか。

 

今年の農業体験は、伊吹大根の種まきと収穫を計画したところ、街の方や飲食関係者の参加が多かったです。また、古民家は築120年くらいですがWi-Fi完備ということもあり、友達や家族連れのほか、東京や大阪からワーケーション(※)にも来られています。いずれも田舎の暮らしを垣間見ることができると思います。これからも、人と人のつながりを大切にし、体験や商品を通じてこの地域にしかない良さを発信し続けていきたいです。

 

 

■ PROFILE

 

谷口 隆一(たにぐち りゅういち)さん

いぶきファーム 代表

久次郎のある米原市大久保の集落に生まれ育つ。米原市職員として、道の駅の立ち上げなど地域振興に長年携わる。57歳のときに早期退職し、平成25年にいぶきファームを設立。自社農場で育てた農作物を、久次郎にて休日限定で提供している。

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撮影・山崎 純敬 / SHIGAgrapher

ライター・大山 真季 / ノギラボ