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KAORI MIZUNO
NAGISA KOJIMA

滋賀県情報

2021.04.20

いよいよ始動!クラフトビール「彦根麦酒」

 

この春、滋賀県で6つ目のクラフトビール醸造所「彦根麦酒」が始動します。

各地で注目されるクラフトビールですが、なぜ今ビールなのでしょうか。

環境にも配慮されているというその取り組みについて、

営業ディレクターの水野さんと、醸造責任者の小島さんにお話を伺いました。

 

―完成したばかりの醸造所が、いよいよ本格始動しますね。


水野:はい。昨年から、醸造責任者の小島が他社で製造したビールを販売してきましたが、ようやく自社生産できるようになります。4月からはホップも栽培する予定で、ゆくゆくは全ての原料を彦根でまかなう「ALL HIKONE BEER」を目指しています。また、彦根麦酒を飲んでいただくことで、醸造所のある彦根市石寺町の荒神山から琵琶湖に広がる美しい田園風景や、彦根市街地の情緒ある街並みなどを思い起こす体験を提供できればと思います。

 

 

ラベルは水野さんによるデザイン。試験醸造から積み重ねてきた経験を数字で表現している。

 

 

―環境にも配慮されていると伺いました。具体的にどのようなことでしょうか。


水野:例えば森林保全につなげるために、建物には可能な限り木材を使用しました。また、醸造所内の換気には琵琶湖から吹く自然の風を利用しています。将来的には、できるだけ廃棄物を出さないために、製造過程で出る麦芽粕を肥料や家畜の餌にしたり、設備の予洗いに使用した安全な水を畑にまき節水をするといった資源循環型醸造を目指したいと思っています。

 

 

建設中の醸造所。試飲や直売スペースも設けられる。(写真は2月撮影)

 

 

―お二人は県外からIターン移住し、石寺町に住んでいるそうですね。地域コミュニティとは、どのような関わり方をしているのでしょうか。


小島:私は滋賀県立大学でまちづくりを学んだ後、今も醸造の傍らで「まちづくり石寺」という一般社団法人の理事として、古民家を改修して学生たちに住んでもらう活動をしています。住む場所と仕事を石寺町の皆様に作っていただいたので、そのご恩返しをしたいと思っています。

水野:私も、滋賀県立大学の大学院でまちづくりの研究をするなかで石寺町のコミュニティと出会い、約5年間住んでいるので小島と同じ気持ちです。地域活性のためには雇用を生み、定着してもらうことが本当の地域貢献になると思っています。

 

 

自分たちのストーリーをわかりやすく発信。

 

 

―地域の活性化や美しい自然環境を守るための選択、それがクラフトビールだということがわかりました。ところで、実際に製品をつくるうえで試行錯誤はありますか。


小島:これまでペールエールとヴァイツェンの2種類、計7本を製造してきましたが、気温や材料一つが変わるだけでも風味が変わるので、その変化にいかに対応するかが難しいです。過去には、石寺産の小麦を使った製品が思い通りの味にならず、販売を見送ったこともありました。とても悔しかったのですが、地域の皆様から叱咤激励をいただき、私の励みになっています。現在は彦根のビール酵母を探しているところで、実際に発見し醸造ができれば、特徴あるものができるだろうと楽しみです。いずれにしても、老若男女問わず飲みやすい味を目指しています。

 

―今後の展望をお聞かせください。


水野:現在、彦根城を世界遺産にしようという動きがあり、ここで積み重なってきた歴史をクラフトビールとともに発信できればと思います。そのためには、醸造所とECサイトのみでなく、市中でも彦根麦酒を楽しんでいただけるように販路を広げたいです。そしていつか、この取り組みが地域の誇りや愛着へとつながることを願っています

 

 

■ PROFILE

水野 華織(みずの かおり)さん

株式会社彦根麦酒 営業ディレクター/デザイナー

滋賀県立大学大学院卒。まちづくりの研究のため奈良県からIターン。彦根麦酒のグループ会社である(株)橋本建設の広報も担当。

 

小島 なぎさ(こじま なぎさ)さん

株式会社彦根麦酒 取締役/醸造責任者

滋賀県立大学人間文化学部卒。海外インターンシップで派遣されたウガンダで地域コミュニティの大切さを知る。帰国後、まちづくりに携わる。社会福祉士保有。

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撮影・山崎 純敬 / SHIGAgrapher

ライター・大山 真季 / ノギラボ