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ここから、ひろがる滋賀のストーリー
TAKESHI NAKAGAWA

滋賀県情報

2021.12.15

日本茶のルーツ・滋賀から
その歴史と味わいを伝える

 

煎茶、ほうじ茶、番茶…私たちの暮らしに溶け込む日本茶のルーツが、実は滋賀と深く関わりがあるとされるのをご存知ですか。
創業 160 年余の中川誠盛堂茶舗は、滋賀県産に特化した「顔の見える」茶葉を販売し、海外からも愛好家が訪れる老舗です。5 代目の中川武さんに滋賀のお茶の魅力を伺いました。

 

―たくさんのお茶が並んでいますね!


煎茶だけでも100種以上、そのほとんどが滋賀県産です。さらにその多くは、一農園で作られている一品種の茶葉「シングルオリジン」です。一般的に、国内で流通するお茶は複数の産地がブレンドされ、味が整えられています。しかしうちでは、産地のもつ力と作り手の個性を大切にしたいと考え、生産者から届いた荒茶と言われる段階の茶葉を、自社で製品化しています。

 

旅人が行き交った東海道沿いに店を構える。番茶を炒る香ばしい匂いに引き寄せられる。

 

―滋賀県産のお茶の特徴はなんでしょうか。


日本茶の発祥の地とされるのがこの滋賀。最澄が中国の唐から持ち帰ったお茶の種を起源とし、それを比叡山の麓に植えたものが、我が国での茶園の始まりと伝わります。
そんなゆかりを経て、現在の主な産地として朝宮・土山・政所が知られています。国内の他の産地と比べると年間を通じて気温が低く、茶葉の成長に時間がかかりますが、その分栄養をたくさん吸収してくれます。つまりお茶栽培にふさわしい風土を兼ね揃えているんです。さらに朝宮なら茶葉本来の香り、土山なら甘み、政所なら在来種の茶葉ならではの野趣といった個性があります。

歩んできた歴史の片鱗。茶筒は、日本で最も古い茶筒店である京都の開化堂製。

 

―生産者とはどのように関わっておられるのでしょう。


100年以上のお付き合いのある茶園もありますし、新たに作り手さんを見つけてくることもあります。
茶農家の高齢化や減少といったこともしばしば言われますが、熱心な生産者さんは間違いなくいらっしゃいます。そうした方々の産地にたびたび伺い、栽培状況などの情報を交換することはもちろん、私が見つけてきた世界各国の貴重な茶葉を紹介して、参考にしていただくこともあります。信頼関係を築き二人三脚で、顔の見えるお茶を伝えたいと考えています。

 

 

試飲のひととき。茶の種類にふさわしい入れ方も指南してくれる。

 

―たくさんのお茶から自分好みを見つけるには?
 

店頭にあるものは、たいてい試飲していただけますよ。実際に味わっていただいた感想をもとに、その方のお好みの傾向をつかんで、おすすめを紹介しています。
ごく簡単に言うと、お茶の味わいは「うまみ」と「香り」に分けられます。たとえば、煎茶のなかでも玉露やかぶせ茶はうまみが強く、一方でほうじ茶や番茶は香りの良さを味わうもの。香りといえば、滋賀県産の和紅茶は、世界の紅茶に負けない芳(かぐわ)しさを備えていて、おすすめです。
 

―お茶初心者や外国の方、愛好家までが来店する、間口の広さでも知られていますね。
 

家業を継ぐまでお茶にほとんど関心がなかった私が、この世界の奥深さにのめりこみ今やどっぷりはまりこんでいます。それは、生産者さん、お茶を愛するお客さんに育てていただいたようなもの。だからこそ来店していただいた方が「こんなお茶初めて飲んだ!」と、新たな世界に出会っていただくことが何よりの喜びになっています。お茶を作る人、飲む人、双方をつなぐ私たち、みんなが笑顔になれる、そんな場でありたいと考えています。
 

 

 

 

■ PROFILE

 

中川  武(なかがわ たけし)さん

安政 5年の創業から藩献上品、皇室御用達としての品質と信頼を築いてきた「中川誠盛堂茶舗」に生まれ、大学卒業後茶問屋での修行を経て5代目として家業へ。世界各国の茶の産地へ独自に研究に赴くなど、深い造詣で知られ、愛好家からの信頼も厚い。62歳。

 

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撮影・山崎 純敬 / SHIGAgrapher

執筆・矢島 絢子