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HIROYUKI YASHIRO

滋賀県情報

2021.09.25

“へんないも” ってどんなイモ? 
焼きイモの甘さに驚く、新・滋賀スイーツ

 

「焼いただけなのにこんなに甘いなんて! へんなイモやなあ~」

そんな感想が、商品名になってしまったユニークな焼きイモがあります。

その生みの親が、「へんないも屋」代表の社博之さん。

長年の料理人の知見と、科学的データに基づいて引き出した、おいしさの秘密に迫りました。

 

―名前のインパクトが強烈ですね。どんな焼きイモなのでしょう?


一般の焼きイモと比べて3倍以上の糖度をもち、食べた方からはたいてい「こんな甘いの初めて食べた」という感想をいただきます。
秘密は2度の熟成。一定温t度で60日以上寝かせたサツマイモを、オーブンでじっくり時間をかけて焼きます。これをさらに低温で2週間以上寝かせます。この工程を経ることで、サツマイモの消化酵素がデンプンに作用して、麦芽糖という甘味成分が生まれます。調味料や添加物は一切加えていない、天然由来の甘さが引き出されるんです。

 

 

湖南市の農業・産業の振興拠点であるここぴあ。地元生産者が届けた新鮮な農産物などを購入できる。

 

―湖南市の名物を作りたいという市からの依頼で誕生したそうですね。サツマイモに着眼したのは?


可食部すべてを無駄にすることなく使えて、子どもから高齢者まで年齢を選ばず食べてもらえることが決め手でした。
個人的にも思い出の食材。子供の頃、魚釣りをするときの餌がサツマイモだったんです。1日かけてじっくりゆがいて、さらに新聞紙でくるんで保存したものを使っていたのですが、餌にするには惜しいほどおいしかったんです。サツマイモは時間をかけて加熱したり、寝かせたりすることでおいしくなることを、幼い頃に知らぬ間に体得していたんですね。

 

ここぴあ入り口には、へんないもが大きくPRされ、人気の度合いがわかる。

 

―2017年の販売開始から3年。周囲の反応はいかがですか。


一度食べたらやみつきになると、リピーターが圧倒的に多いですね。柔らかく簡単に潰せるから、離乳食や高齢者の流動食などに愛用してくださる方もいます。
30年以上料理人をやってきた経験や勘に、温度変化に伴う成分の変化といった科学的なデータを紐付けたことで、最高の甘さが引き出せたと思っています。販売以来、サツマイモをさわらない日はないほど。今では手にもってヘタを見れば、その質がわかりますね。

 

主にシルクスイートという高糖度の品種を使用。 品質の良し悪しは「イモの声」を聞くという。

 

―焼きイモというと、冬に熱々を食べるというイメージが強いですが、冷やしたり、凍らせたりしての食べ方もおすすめだとか。


凍らせたものは半解凍してシャーベットのようにして食べてもおいしいんですよ。日持ちもしますしね。実は冷やすことで栄養素にも変化があるんです。一度加熱したものを4度以下で冷やすと、でんぷんが「レジスタントスターチ」という物質に変わります。これが腸で食物繊維と同じ働きをして、血糖値やコレステロール値の上昇を防ぎ、排便を促す効果が高くなるんです。

 

―市だけでなく、滋賀県の新しい看板スイーツになりそうですね。


湖南市は、ナスや唐辛子の生産で知られる土地で、自然が豊か。釣り好きな私のお気に入りスポットが野洲川で、アユやウナギを獲るのを楽しみにしています。現在、へんないもの原料は、茨城県からシルクスイートという品種をメインに仕入れているのですが、いずれ地元で栽培したサツマイモを使いたいと考えています。近隣農家さんと常々情報交換しているところです。

 

■ PROFILE

 

社 博之(やしろ ひろゆき)さん

へんないも屋代表

京都市出身、平成 2年に滋賀県に移住。料理人として、洋食、和食をメインに多様な店舗形態での経験実績から、湖南市民産業交流促進施設「ここぴあ」の看板商品の製造開発を一任される。当時の湖南市長が初めて食べたときの感想を商品の名前に命名した。

 

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撮影・山崎 純敬 / SHIGAgrapher

執筆・矢島 絢子