奥永源に活気を!紫草を栽培し化粧品を開発

奥永源に活気を!紫草を栽培し化粧品を開発

株式会社みんなの奥永源寺代表 前川真司さん(その2)

 

 

 

 

 

豊かな自然や町に住む人々が育んできた文化の魅力を発信し続ける前川真司さんは、環境省が絶滅危惧種に指定する紫草(むらさき)を滋賀県の東端・君ヶ畑町(きみがはたちょう)で栽培。根っこを紫色の染料として活用するほか、抽出したエキスを使う化粧品開発も手がけています。前川さんに、取組を始めた理由や今後の展望を伺いました。

 

 

 

 

 

 

 

 

豊かな水資源は、森が育んでいる

集落の中心から少し歩くと愛知川の支流である「御池川」が見えてきます。冷たい水を好むイワナが棲む清流です。県内にある多くの川と同じように、この川の水も琵琶湖に流れ込みます。そして、近畿一円に住む1,450万人の命を支える水となります。

「滋賀県の6分の1の面積を占める琵琶湖はマザーレイクと呼ばれますが、この集落で暮らすようになって、その水源を育む森林の環境も大事にしなければと思いいたるようになりました。ファザーフォレストと呼ばれる考え方です」。

盛夏になると、川をせき止めてイワナをつかみ獲りする、子ども向けのイベントが行われる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

環境省のレッドリストに掲載されている紫草を栽培

「平安時代から続く歴史や木地師の文化、命を育む御池川…、君ヶ畑町には未来に伝えていきたい宝がたくさんありますが、そのためには地域を活性化させなければなりません。定住を促すには雇用を生むことも必要です」。

その手立てのひとつとして、前川さんが挑戦してきたのは、国が絶滅危惧種に指定する紫草の栽培です。

「紫草は、天武天皇の妃である額田王(ぬかたのおおきみ)が『あかねさす 紫野行き 標野行き 野守は見ずや 君が袖ふる』と詠んだことでも知られる植物。紫野は、紫草が栽培されている所を意味します。その根っこである紫根(しこん)は、染料として使われるほか、火傷や傷の特効薬として昔から親しまれてきましたが、栽培がとても難しい。標高400メートル以上、冷涼な気候といった条件が揃っていても95%が枯れてしまうこともあるぐらいです。
私は、東近江市の花でもある紫草の存在を知り、国産天然紫根の希少性に感動。移住を決めた背景には、その栽培を本格的に始めたいとの思いもありました」。

「地球温暖化の影響もあり、今は標高500メートル前後ある君ヶ畑より低い土地での栽培は難しいと思います」と前川さん。

 

 

 

 

 

 

 

 

地域の未来を共に考える

「現在、私は集落内の5つの畑で紫草を栽培しています。栽培し始めた頃は、主に染め物に使うつもりでしたが、化粧品メーカー「アルデバラン」社のサポートを受けて、基礎化粧品「MURASAKIno」シリーズを開発。今は女性用が主流ですが、いずれはメンズ向けも開発したいと考えています」。

その発売元でもある「株式会社 みんなの奥永源寺」は、さまざまなコンテンツを商品化する目的で前川さんが2017年に立ち上げた会社です。

「設立に当たっては地元住民や市民の皆さんに出資してもらいました。儲けが出たらみんなで分配する仕組みです。これらの取組が盛り上がって、雇用を生み出せるようにするのが今の目標です。『実現できたら、自分の孫やその次の世代が集落に戻ってくれるかも』、そんな期待を寄せてくださる方もおられます」。

地域のことを知ってもらう、一緒に考えてもらうきっかけになればと、「MURASAKIno」には、菜種油やツユクサエキスなど、滋賀県産の原料がいくつか使われています。

「滋賀県は、全国に先駆けて持続可能な開発目標(SDGs)を県政に取り込む宣言をした自治体です。県民の一人として、エシカルな暮らしが当たり前になるように、豊かなパートナーシップを築いていきたいと考えています。素晴らしい自然を有する奥永源寺エリアから、環境保全のこと、そこで暮らす人々の雇用創出など、次世代に繋ぐ活動をこれからも発信していきたいと思います」。

「MURASAKIno」シリーズ。左から、化粧水(100㎖3,850円)、美容液(30ml4,950円)、乳液(60ml4,070円)。洗顔料やハンドクリーム、養毛料も製造している。

 

 

 

 

 

 

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