新しい日本茶ブランド「土山一晩ほうじ」が誕生!

2022年9月7日(水)公開

茶農家と茶匠の力を掛け合わせた、新しいブランド茶

 

滋賀県で生産される近江の茶。その約7割を占めているのが甲賀市土山町産です。ここ滋賀では、そんな近江茶の名産地・土山で誕生したブランド茶「土山一晩ほうじ」の試飲販売会を、9月15日(木)~17日(土)に開催します。土山一晩ほうじが誕生した背景、製造における特性について農事組合法人グリーンティ土山の理事・竹田知裕さんと、茶師拾段位 を有するマルヨシ近江茶の代表取締役・吉永健治さんにお伺いしました。

 

農事組合法人グリーンティ土山の茶畑は日当たりの良い丘陵地。地下には排水設備が整えられている。


平安時代から伝統を受け継ぐ、茶の名産地

 

平安初期、唐(現在の中国)から茶の種を持ち帰った最澄(さいちょう)が滋賀県の比叡山麓にまいたのが、日本における茶葉栽培の始まりと言われています。以降、県内各地で茶が栽培されるように。なかでも、野洲川(やすがわ)沿いのなだらかな丘陵地を有する点で地の利に恵まれていた土山町一帯は、県内有数の茶の産地になりました。

「お茶の栽培に適しているのは昼夜の寒暖差が大きい土地ですが、土山はそれに加えて冬はしっかり寒く、春は徐々に暖かくなります。そのおかげで芽がゆっくり育ち、香りも旨みも濃い肉厚の茶葉になります。私たちはその旨みをさらに深め、かつ渋みを抑えるため、摘み取り前に茶葉に日差しを遮る覆いをかけて育てる “かぶせ茶”を主に生産してきました」。(竹田さん)

 

高校と大学で農業を学ぶなかで「茶栽培の面白さを知りました」と話す竹田知裕さん。


萎凋(いちょう)することで、茶葉が花のような香りに

 

かぶせ茶の名産地が土山一晩ほうじを誕生させた背景には危機感がありました。近年、家庭内での日本茶消費量が減少。加えて生産者の高齢化による後継者不足などの不安要素を少しでも軽減したいと、4年前に茶農家と茶匠がプロジェクトを立ち上げたのです。

「土山では昔から茶農家と茶匠が連携し、美味しいお茶を送り出してきました。これは他の産地には見られない特色です。今回もそのやり取りのなかで、“少し萎(しお)れさせた茶葉で作る微発酵茶が面白いのでは”との意見が出て、取組を始めました。茶葉の水分を抜いてしんなりさせる萎凋を行うと、花のような甘い香りが漂います。その特性を生かしているのが土山一晩ほうじです」。(竹田さん)

※萎凋とは…摘み取った茶葉に風を当て、葉をしんなり(発酵)させて香りを出す作業

 

萎凋作業は茶農家の仕事。


萎凋した茶葉を焙煎することでさらに個性が花開く

 

明治35年に創業したマルヨシ近江茶の7代目である吉永健治さん。

若い世代や外国人にも好まれるほうじ茶の専門店も営み、今までに数多くのほうじ茶を開発してきた茶匠の吉永健治さん。萎凋と焙煎技術のマッチングで、しっかりした味わいを持つ土山茶の魅力をもっと引き出したいと、日々研究を重ねています。

「ほうじ茶は、茶葉の選び方、焙煎の仕方で風味が一変します。焙煎する時間もまちまちで、30秒しか焙じない時もあれば、40分かける時もあります。だからこそ面白いし、難しいんです」。(吉永さん)

 

萎凋と焙煎を変えると、まったく違う味わいの土山一晩ほうじが出来上がる。


産地を守るためには、規格作りもしっかりと

 

全国に十数人しかいない茶師拾段位を保有。目利きのプロである吉永さんは、土山一晩ほうじの規格作りにも携わりました。
「土山一晩ほうじと名乗れてロゴが使えるのは、①12時間以上萎凋させた香り高い茶葉を使用、②土山茶業協会員が栽培・製造した茶葉を使用、③滋賀県茶商業協同組合員及び土山の生産者が焙煎したほうじ茶、この3つをクリアしたお茶だけです」。(吉永さん)

 

全国茶審査技術競技大会に出場。3年前に最高位である茶師拾段を取得した吉永さんが五感を研ぎ澄まして焙煎を行っている。

竹田さんが所属する農事組合法人グリーンティ土山 をはじめ、全14団体がそれぞれに個性豊かな土山一晩ほうじと、茶葉を使うスイーツなどを製造販売している。


華やかで香ばしいお茶を「ここ滋賀」で!

 

ここ滋賀では、9月15日(木)~17日(土)に土山一晩ほうじの試飲販売会を開催します。読者の皆様、ご来館の皆様にメッセージをいただきました。

「竹田さんをはじめ、生産者の方々が萎凋させて花のような香りを引き出した茶葉を私たちのような焙煎職人が焙じると、その香りがもっと華やかになり、奥行きが出ます。“香る”ほうじ茶と呼んでいるのはそのためです。生産者の個性と茶匠の個性の掛け合わせで土山一晩ほうじは幅広い商品ができました。スイーツから中国料理まで相手を選ばないので、食事中のお茶としても楽しんでいただけます。ぜひお試しください」。(吉永さん)

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