2022年7月1日(金)公開
「滋賀県で暮らす方々にとって、琵琶湖は常に大きな存在であり、古くから琵琶湖を大切にする暮らしが営まれてきました。1977年、琵琶湖に赤潮が大量発生し、社会問題となった時も、原因のひとつとされた『りん』を含まない石けんを使おうという運動(石けん運動)が県民から主体的に起こりました。この運動の盛り上がりが後押しとなって、県では1980年7月1日に『滋賀県琵琶湖の富栄養化の防止に関する条例』を施行。石けん運動以来、40年以上に渡り、県と県民は琵琶湖を守る取組に共に向き合ってきました」。
「MLGsでは、〝変えよう、あなたと私から〟をキーコンセプトに、美しく豊かな琵琶湖を次世代に残すための13のゴールを設定しています。その目標づくりの骨格となったのが、2012年に始まったマザーレイクフォーラムびわコミ会議で、参加者のみなさんから集めた『びわ湖との約束』です。10年に渡り、琵琶湖に関わる人たち、県民のみなさんの琵琶湖への思いを集めてきました。
『私はゴミ拾いを頑張ります!』、『子どもたちと一緒に琵琶湖で遊びます!』。
そんな、一人ひとりの琵琶湖との約束を分類し、さらにワークショップを開いていろんな人の意見を伺って13のゴールの形にまとめていったのがMLGsです。そもそも、みなさんの約束、行動から作ったゴールなので、とても身近で、自分ごととして捉えやすいものになっていると思います」。
「世界的なSDGsと〝琵琶湖版のSDGs〟であるMLGsは、どちらも持続可能な社会に向けた取組です。しかし、SDGsは規模が大きくて、どのように自分ごととして落とし込んでいくか分からないという方も多いと思います。
一方で、先ほどお話ししたように、MLGsは、びわ湖との約束という自分ごとからスタートしているので、具体的な取組のイメージが湧きやすい。なので、MLGsは自分たちの活動がSDGsにつながっていることを発見するきっかけや気づきにつながると思います。
『琵琶湖は暮らしを映す鏡』とも言われるように、私たちの暮らしの在り方は湖の状態に現れます。また、近年では温暖化など地球規模のさまざまな気候変動の影響もあって、琵琶湖で毎年冬に起こっていた全層循環が確認されず、湖底付近の溶存酸素が低下し、水質や生物への影響が懸念されています。つまり、琵琶湖は『地球環境問題を見通す窓』とも言えるのです。
一人ひとりのびわ湖との約束に基づく行動は、MLGsの達成につながっていきますが、それは同時に、その先にあるSDGsのゴールに向かうアクションでもあるのです」。
「MLGsに関連する取組として、県をはじめ、地域のグループや学生のみなさんが、さまざまなイベントやワークショップを開いています。先日は琵琶湖の北端に位置する長浜市西浅井町で、子どもたち向けの田植えと川遊び体験のイベントに参加してきました。イベントではお昼に地元でとれたお米を羽釜で炊いた塩むすびがふるまわれました。
学びにもいろんな形があり、『SDGsの何番が…』と説明できるようになることも大切ですが、『田んぼの土はヌルっとしていたけど気持ちよかったよ』『面白いおっちゃんが大きな釜で炊いてくれたご飯で作ったおにぎりがおいしかったよ』と感じたことを自分の言葉で語れるということが大事で、それが次の行動や活動につながっていくと信じています。何より参加者の『楽しい!』という体験を大切にしたいと思っています。この楽しい体験が、琵琶湖のことや環境のことを自分で考える根っことなり、やがてMLGsの主体的な一歩となっていけばうれしいです」。
「若い世代や県外の方にも『びわ湖の日』や琵琶湖をもっと知ってもらい、もっと琵琶湖と関わりを持ってもらいたいとの思いから、『びわ湖の日』の動画を作成し、YouTubeやS N Sで配信します。琵琶湖のレジャースポットや、〝湖の恵み〟を使ったグルメ、オシャレな写真が撮れると話題のフォトスポットなど、『遊ぶ・食べる・拾う・映える・想う』という5つのテーマを通して、琵琶湖との関わり方や楽しみ方を紹介しています。スマートフォンでも見やすいよう、縦型で制作したショート動画です。琵琶湖や滋賀県の魅力を多くの方に感じていただき、琵琶湖と関わるきっかけになればと思います」。(志村)
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