2022年7月1日(金)公開
黒みがかった銀色に輝く魚体から、〝琵琶湖の宝石〟とも呼ばれるビワマス。琵琶湖だけに生息する固有種でサケ科に属する淡水魚です。その生態もサケと似通っていて、川の上流で孵化(ふか)した稚魚は、琵琶湖に下って成長し、成熟すると生まれた川に上って産卵します。
「体長は40〜50㎝ほどで、大きいものでは70㎝にも成長します。産卵期になると、オスは鼻が曲がって獰猛(どうもう)そうな顔つきになるところもサケと似ていますね」(礒﨑さん)
ビワマスが獲れるのは主に琵琶湖の北部。水深100m級の水域をランダムに泳いでいます。それが6〜9月頃は水温の影響により20〜30mの深さに集まるため、あらかじめその深さに網を仕掛けておく「刺網(さしあみ)漁」という漁法が一般的です。
「当組合の漁師は、船からルアーを使って釣る『引縄釣(ひきなわつり)』(通称:トローリング)を採用しています。漁船に設けた探知機で、餌となるヨコエビやアユなどがいるビワマスの漁場へ。船に数本の竿を固定して、擬似餌の付いた釣り糸を湖に流します。一匹ずつ釣り上げるため手間はかかりますが、魚体に傷がつかないため、漁協の生簀(いけす)に放しても4〜5日は生きているほど元気なのですよ」。(礒﨑さん)
美しいサーモンピンクの身は、サケと似た風味で、上品な旨みが特長です。夏に向けて脂乗りが良くなり、とろりとした食感が楽しめるのだとか。お刺身のほか、塩焼きや煮付けでも美味しくいただけます。
「この身の赤色は、ヨコエビの色素によるもの。琵琶湖のプランクトンをエビが食べ、それをビワマスが食べることで、この独特の色合いや風味が生まれます。言うなれば、琵琶湖の自然が育んだ味です」。(礒﨑さん)
琵琶湖産の魅力的な食材として県外からも注目されているビワマスですが、今後の課題もあるという。
「漁師の高齢化に加えて社会全体の〝魚食離れ〟によって魚が売れず、漁業をやめてしまう人が増えています。また、琵琶湖の環境の変化や地球温暖化の影響で、魚が安定して獲れなくなっていることも一因です。簡単に解決できない問題ですが、私たちにできることは琵琶湖の魚の美味しさをアピールし、多くの人に琵琶湖の価値を知ってもらうことだと思っています」。(礒﨑さん)
ここ滋賀では、7月9日(土)・10日(日)、ビワマスの試食販売会を開催します。
「ビワマスは締めた直後は、コリコリとした食感ですが、一晩経つと身がとろりと柔らかくなり、甘みも増します。水揚げしたものを漁協でさばいて、翌日、ここ滋賀へお届けするため、旨みが増した食べごろのビワマスを味わってもらえますよ」。(礒﨑さん)
当日は礒﨑さんから直接、ビワマスの豆知識や琵琶湖の漁について、お話を聞くことができます。ビワマスを知って、食べて、この滋味を育んだ琵琶湖にも思いを馳せてみてください。
イベントは終了致しました。
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