まだ知られていない滋賀県の魅力を、現地に訪れてさがしに行く本連載。今月は日本一の琵琶湖がある滋賀県ならではの食文化、「湖魚(こぎょ)」を求めて料理家の栗原友さんと旅をしました。普段から築地のお魚をよく扱う栗原さんは、琵琶湖の魚を食べて何を感じたのか?12月には栗原さんが手がける湖魚料理を味わえるイベントも開催します!

今月滋賀をさがしに行った方  栗原 友さん

料理家。雑誌やWEB、TVで活躍する他、定期的に料理教室も開催。2017年8月には浅草 花やしき通りに居酒屋「夜のさわぎ」をオープン。著書に『クリトモのさかな道 築地が教えてくれた魚の楽しみ方』(朝日新聞出版)など

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湖魚

400万年の歴史がある琵琶湖の魚たち

琵琶湖は世界でも有数の古代湖で、誕生は400万年以上も前と言われている。その悠久の歴史が、ビワマス(イラスト上)、ニゴロブナ、セタシジミなど50種類を超える琵琶湖固有種を含む1,000種類以上の多様な動植物を育んできた。

食べ方は様々、滋賀ならではの食文化

琵琶湖固有種のホンモロコ(イラスト下)は、淡泊な味で骨も柔らかいため、つくだ煮や天ぷら、南蛮漬けなど幅広い料理で楽しまれる人気の湖魚。小さなスジエビは大豆と合わせて炊く伝統料理“えび豆”としてよく食べられる。

日本一の琵琶湖ならではの、
美味しい「湖の幸」

「湖魚」と書いて「こぎょ」。あまり聞き慣れない言葉ですが、川には「川魚」がいるように、湖には「湖魚」がいます。そして、日本一の淡水湖である琵琶湖には四季によって様々な湖魚が獲れ、古くから湖の周りに住む人々の食卓を彩ってきました。そんな滋賀県ならではの食文化を味わい、体験するべく、料理家の栗原友さんとまず向かったのは、日本の湖で唯一の有人島であり、琵琶湖一番の漁獲量を誇る沖島。琵琶湖東岸の堀切港から毎日出ている定期船に乗り、片道約10分ほどの船旅でたどり着いた沖島で、沖島漁業協同組合長の奥村繁さんに話を伺いました。「琵琶湖では台風などで水が濁ると、長くて10日ぐらい漁ができないこともあります。しかし、そのにごりの中には魚の餌になるプランクトンなども含まれるので、結果的に魚が美味しく育って良い効果もあるのです。琵琶湖という大きな自然に無理に抗わず、共存するように漁を行っているのが我々の特徴かもしれませんね」。また、沖島は離島ならではの穏やかな雰囲気や、猫が多い島と言われることもあり、年間3万人もの観光客が訪れると言います。そんな沖島に訪れた人たちを美味しい湖魚でおもてなしするために、漁師の奥さんたちが立ち上げたのが「湖島婦貴(ことぶき)の会」。沖島の玄関口である漁協会館前に毎日屋台を出し、湖魚をふんだんに使った“沖島のお弁当”や“えび豆若煮”などお母さんたちが手作りした料理を販売しています。その後は、左ページで紹介する「セトレマリーナびわ湖」、「魚富商店」にも訪れて様々な湖魚を味わった栗原さん。その感想は?…「琵琶湖の水質が良いためか、いわゆる淡水魚特有の臭みが少ないと思います。何より漁師のお母さんが作るお弁当も、魚富商店でいただいた佃煮も、セトレマリーナのシェフが手がけた美しい1皿も、皆さんの琵琶湖への愛情と敬意を感じました。12月のイベントではそんな“琵琶湖愛”を少しでも伝えられる湖魚料理をご提供できればと思います」

セトレマリーナびわ湖

TEL:077-585-1125
滋賀県守山市水保町1380-1 ヤンマーマリーナ内
火定休(祝日・夏期・年末年始除く)
※レストランのみの利用の際は要予約

滋賀で湖魚を食べるなら、ここ。

琵琶湖の魅力が詰まった8皿のコース

琵琶湖の東と西を結ぶ琵琶湖大橋の東側のたもとに位置するこちらのホテル。地域の歴史やそこに住む人、土地で採れる食材や育まれてきた食文化を大切にして、訪れた方に伝えることをコンセプトにしています。こちらのレストラン「DINING ROOM BY THE BIWAKO」では、1月上旬より「琵琶湖八珍」と呼ばれる琵琶湖で採れる特徴的な魚介を堪能できるコースを提供予定。ホンモロコをシンプルに石焼にした料理から、ビワマスの握り寿司、小鮎の天ぷらなど、湖魚を様々な調理法で味わえます。その他にも近江牛や近江軍鶏、契約農家の無農薬野菜など、供される料理の食材は、ほとんどが滋賀県で採れたもので構成。ぜひ、眼前に広がる琵琶湖の景色と共に楽しみたいコースです。

セトレマリーナびわ湖

TEL:077-585-1125
滋賀県守山市水保町1380-1 ヤンマーマリーナ内
火定休(祝日・夏期・年末年始除く)
※レストランのみの利用の際は要予約

魚富商店

TEL:0120-105-292
滋賀県大津市本堅田1-16-14
営業時間:9:00~18:00 木定休

採れたての湖魚をやさしい佃煮に

近江八景の1つに数えられる「浮御堂」の門前で昭和5年に創業、現在は4代目の竹端尚さんが夫婦で営む佃煮店。お店からほど近い堅田漁港で獲れた鮮度のいいモロコやゴリなどの湖魚を、仕入れてから1時間以内に毎日佃煮にしています。また、保存料などは一切使用せず、醤油や砂糖などシンプルな味付けの昔ながらの製法にもこだわってるため、湖魚の風味や食感も楽しめます。HPからお取り寄せも可能で、県外からの注文も多いそう。

魚富商店

TEL:0120-105-292
滋賀県大津市本堅田1-16-14
営業時間:9:00~18:00 木定休

神保真珠商店

TEL:077-523-1254
滋賀県大津市中央3-4-28 1F
営業時間:10:00~18:00 火・祝日定休

他にもこんな湖の幸が

琵琶湖の淡水真珠の文化を伝える真珠店

琵琶湖で淡水真珠の養殖が始まったのは約85年前。それから「びわ湖真珠」は海外でも高く評価されてきましたが、環境の変化などにより、ピーク時は100社近くあった養殖業者も現在では6社ほどになったと言います。1966年創業の「神保真珠商店」は真珠の卸販売を行ってきましたが、びわ湖真珠をもっと多くの人に身に着けてもらいたいという想いから2014年に実店舗をオープン。ビンテージの真珠アクセサリーや、若い人も求めやすいように値段を抑えたものも販売。また「中川誠盛堂茶舗」から仕入れた近江の茶を提供するサロンも併設しています。

神保真珠商店

TEL:077-523-1254
滋賀県大津市中央3-4-28 1F
営業時間:10:00~18:00 火・祝日定休

COCOSHIGA INFORMATION

1F:マーケット

滋賀県産の旬の野菜や近江米、酒類などの食品から信楽焼などの伝統工芸品など滋賀の特産品を販売するショップ。湖魚の加工食品も豊富で「小あゆオイル漬け」972円(写真右)や「もろこ田舎煮」540円(写真左)などは、ぜひ滋賀県の地酒と合わせていただきたい。

2F:レストラン「日本橋 滋乃味」

滋賀県各地の伝統的なメニューや、その伝統を尊重しながら編集を施したメニューなど、滋味あふれる滋賀の味を楽しめるレストラン。写真の「ビワマスの冷燻と炙り」1,944円や「琵琶湖の湖魚のおかず炊き」1,080円など、湖魚を使ったメニューも豊富に揃います。