2024年1月11日(木)公開
レンコンは蓮の地下茎。烏丸半島付近の琵琶湖岸(赤野井湾)は、日本最大級とも言われた蓮の群生地で、かつては、夏になると、一面美しい花を咲かせていました。しかし平成28年(2016年)に、突然そのほとんどが消失。原因の調査や再生プロジェクトなどが行われました。
そんなとき、田中さんは夏に蓮が群生していた地域なのだから、食用のレンコンが作れるのではないかと考え、米を作っていた田んぼをレンコンの圃場として、栽培を始めました。
「蓮で知られるこの地域の特性とマッチすれば、町の活性化にもつながると考えたんです」。(田中さん)
現在、田中さんは2.4ha(ヘクタール)の圃場でレンコンを育てています。最初は10a(アール)から始めて、少しずつ増やしてきたそう。
「当時、滋賀ではレンコンの生産を行なっている農家がありませんでした。産地である茨城県の知人に話を聞いたり、千葉のレンコン農家で研修を受けたりして、作り方や肥料について勉強してきました」。(田中さん)
レンコンの栽培が始まるのは春。4月に種となるレンコンを土の中に移植し、その種レンコンから土中に節を作りながら伸びた地下茎がレンコンです。レンコンからは上方にも茎が伸びますが、これが夏に大きな葉を水上に広げ、8月頃花をつけます。そして10月下旬には葉や茎が枯れて茶色くなると、その茎を倒して土中のレンコンの成長を止め、約1週間後からレンコンの収穫が始まります。
「土の表面から40cmくらい下にレンコンが伸びて広がっています。それをホースの水圧で土をかき分けて、レンコンを浮かせて収穫します。傷をつけないように慎重に作業しなくてはなりません」。(田中さん)
レンコンを傷つけずに収穫するために、器具は使わず水の圧力のみで掘り出します。12〜3月の寒い時期に、作業ズボンをはいて水を張った圃場に膝くらいまで浸かり、さらに水を使って収穫するという厳しい作業。
それでも田中さんはレンコン栽培に魅力を感じているのだそう。
「しんどいけど、やっていて楽しい。収穫して、食べてもらう喜びがありますから。実は、僕は子どものころ、レンコンは食べなかったんですよ。でも自分で作って、食べてみたらおいしくて! なんで食べなかったのだろうと思いましたね(笑)」。(田中さん)
また、おいしいレンコン作りのために田中さんがこだわっているのが、土づくりです。
「おいしく育てるには、健康な土壌が大切。有機肥料と鶏糞、そして自分で培養した微量要素を使っています。これを春、圃場に入れてから代掻きをして、そして種レンコンを移植します」。(田中さん)
冬の収穫時期だけでなく、年間を通してレンコンのために手間ひまをかけた作業が行われています。
田中さんがレンコン栽培を茨城県や千葉県で勉強したことから、「琵琶湖からすま蓮根」は関東地域でよく作られている「達磨(だるま)レンコン」タイプ。
「丸みを帯びていて、大きめ。そしてシャキシャキとホクホクの両方の食感があるのが特徴です。肉を挟んで油で揚げたり、薄く切ってレンコンチップにするのもおいしいです。僕のおすすめは、すりおろしてエビなどと一緒に団子にしてお鍋の具材に。そのまま食べるときとは違った食感と味わいが楽しいですよ」。(田中さん)
現在は、草津市の魅力的な地域資源として「草津ブランド」に認定されている「琵琶湖からすま蓮根」。滋賀県内のスーパーなどで販売されているほか、関東のレストランでも使用されています。さらに、子どもたちへの食育も積極的。圃場や隣接する作業場に子どもたちが見学に訪れることもあるのだとか。
滋賀県発の魅力あるブランド野菜のこれからに注目です。
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