街道を歩くシリーズ4 琵琶湖の雄大な自然・名勝をめぐる西近江路

2025年3月11日(火)公開

 

 

 

その昔、都への交通や物流の要所として栄えた街道が滋賀県内には数多く存在しました。今も県内の主要道路であり、その風情や佇まいを残す街道に注目し、ゆったりとめぐる‟滋賀の歴史旅”をご提案します。

今回は、第4段。滋賀県の西部、琵琶湖の西側から北陸に続く「西近江路」へ。滋賀県土木交通部都市計画課の谷幹(たに・もとき)と安達智明(あだち・ともあき)が街道の成り立ちや見どころについてお話します。

 

 

 

 

 

 

 

大津市・札の辻から福井県・敦賀市へと通じる西近江路。札の辻は、東海道と西近江路が交錯する場所で、琵琶湖の東側へ行くと東海道へ、西側に進むと西近江路へとつながる重要な起点でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

京都と北陸を結ぶ最短距離

 

京の都と北陸を結ぶ最短距離の道が西近江路です。古代からの北陸道のルートに沿って、琵琶湖の西岸を北上し、高島市の今津から海津を経て敦賀へ抜けていきます。近江朝時代には街道と湖上水運の港がいくつかひらけていたとも言われており、中世には、比叡山の玄関口で知られる街・坂本が山門領からの物資運送で発展したそうです。また、現在の大津市堅田は真宗門徒の堅田衆が活躍し、「堅田千軒」と言われる程の繁栄を誇っていました。幕末には北陸の大名が参勤交代で利用したと伝わります。

また、2023年(令和5年)に県民からの公募で選定された「滋賀の眺望景観ビューポイント30選」のNO.18に浮御堂から見る琵琶湖の景色が選ばれています。

 

 

 

街道沿いの街・大津市堅田。琵琶湖の湖上安全と衆生済度のため、湖中に仏閣を建立したとされる浮御堂は見どころのひとつ。(公社)びわこビジターズビューロー

 

 

 

 

 

琵琶湖の風景とともにある街道

 

(公社)びわこビジターズビューロー

 

春は湖岸に桜のトンネルができる海津大崎。湖岸の石積みはかつて交通の要衝として栄えた宿場町を雨風から守るために造られたとも。「滋賀の眺望景観ビューポイント30選」No.4に海津地域から見た琵琶湖が選定されています。(公社)びわこビジターズビューロー

 

西近江路は、滋賀県を通る街道の中でも景観の見どころが多いのが特長です。浮世絵師・歌川広重の風景画で知られる「近江八景」、琵琶湖が国定公園に指定された1950年(昭和25年)に県民公募で選ばれた「琵琶湖八景」が街道に点在します。

「琵琶湖八景」では、「琵琶湖周航の歌」に出てくる「雄松崎の白汀」、桜の名所でもある「海津大崎の岩礁」、天気が良い日には、琵琶湖に浮かぶ「竹生島」を望むことができます。

また、「近江八景」では、「三井の晩鐘」「堅田の落雁」など、歌川広重描いた景色が目の前に広がります。

 

 

 

 

 

街道に欠かせない歴史遺産

 

朽木宿にある道標

 

小松宿の常夜灯

 

景観とあわせて探索していただきたいのが、街道に残る道標や常夜灯です。坂本、堅田など南部地域は開発が進んでおり、旧跡や歴史遺産が少なくなっていますが、北上するほど旧宿場町を中心に常夜灯や道標が残っている場所があります。特に今津宿あたりには、今も街道の名残があちこちに。何気ないものに歴史的価値があったり、街道において非常に意味のあるものであったりします。街道や宿場のあらましなどの知識を少し入れておくと、より街道めぐりが楽しくなるように思います。

 

 

 

 

 

ヴィーリズ建築が残る今津の街

 

今津ヴォーリズ資料館

 

今津宿には、国登録有形文化財の「旧今津郵便局」「今津ヴォーリズ資料館」があります。街を散策してから九里半超(若狭街道)方面に向かわれるのもおすすめです。

これから春に向けて、湖岸ドライブ&街歩きのスポットとして、西近江路をぜひめぐってみてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

滋賀県土木交通部都市計画課

■077-528-4184 

■滋賀の眺望景観ビューポイントはこちらから

■Instagramはこちらから

 

 

 

シェアする:
記事一覧へ