2024年12月2日(月)公開

上田さんの農園では、早生・中生・晩生の各品種を栽培。出荷は3月末ごろまで続く。
水はけの良い土壌であることから、近江八幡市安土町には古くから「豊浦(といら)ねぎ」の名で呼ばれるネギが受け継がれてきました。この品種は九条ネギ系の青ネギですがやや細めで白い部分が長く、魚と煮ると臭みも取れ、甘みも楽しめると、信長公も好んでいたとの逸話が伝わっています。
そんなネギの名産地で誕生した安土信長葱は、火を加えるとトロっとした食感に変化する白ネギです。JAグリーン近江安土葱部会では、平成23年(2011年)に商標を取得。現在は20軒の農家が安土信長葱を栽培しています。

土のついた薄皮を取り除き、余分な葉と根をカットした安土信長葱。一見するだけでもそのみずみずしさが伝わってくる。
上田さんは実父がJAグリーン近江安土葱部会の部会長を務めていたこと、ちょうど仕事を探していたタイミングでもあったことから就農を決意。滋賀県立農業大学校就農科で農業技術の基礎を学び、5年前から安土信長葱を栽培しています。
「私は30歳で発達障がいを持っていることが分かったこともあり、なかなか定職に就くことができませんでした。そこで安土信長葱に着目。農業の先輩である父にも頼れるだろうと思って自分の農園を開き、ネギ農家になりました」。(上田さん)
寒さや乾燥には比較的強い安土信長葱ですが、高温や多雨の状態が続くと病気になったり虫害を受けやすくなります。特に今年は気温の高い状態が長く続いたため、例年に比べると1カ月近く収穫時期がずれ込みました。
「実は、安土信長葱の栽培を始めて半年ほどで父が闘病生活となり、その後病死。しっかりとした指導を仰ぐことはできませんでしたが、自然が相手のネギ栽培は毎年が勉強。いろんな問題に直面するのですが、周りの手や知恵も借りながら日々頑張っています」。(上田さん)

トラクターを使っての収穫風景。安土信長葱の根元を切って土の上に横たえ、その後、手で収穫する。
植え付ける本数を増やすと太いネギにはなりません。間隔を広く取り、のびのび育てることでずっしり重いネギが育ちます。真っすぐに植えることもポイント。斜めに植えると曲がって育ってしまうそうです。
「安土信長葱は、成長に合わせて何度も何度も土寄せを行うことで軟白部分を長くします。その白い部分の長さが25~27㎝、かつ2~3本入りの1袋が部会で定める規格以上ないと安土信長葱として出荷することはできない厳しい規格を設け、ブランドを守っています」。(上田さん)
収穫は、トラクターに取り付けたアタッチメントを根元に差し込んで切り、ネギを倒します。その後、手作業で1本1本収穫。薄皮を取り除き、袋詰めしていきます。
「ガスコンロのグリルで焼くだけでもジューシーな甘みが楽しめますし、すき焼きもおすすめ。斜めに薄切りしてカツオと昆布のだしでサッと炊くネギと豚肉の鍋、牛スジ肉と煮込んでカレーにするのも我が家の定番です。迫力満点なのが丸焼き。1本をそのまま鉄板や網の上で豪快に焼いて焦げた部分を取り除くのですが、トロける甘さにびっくりすること間違いなしですよ」。(上田さん)
上田さんには「消費者に喜んでもらえる、美味しい安土信長葱を作ること」に加え、もうひとつ目標があります。
「私のように障がいを持つ人が働ける、経験が積める農園にすること。ステップアップが目指せる環境も作っていきたい。そのためにも、安土信長葱の魅力を広く知ってもらいたいと思っています」。(上田さん)

収穫が始まったばかりの安土信長葱は1袋3本入り。寒くなるほどに太く成長するので次第に2本入りが多くなっていく。
上田さんが所属するJAグリーン近江 安土葱部会の皆さんが育てた安土信長葱は、全国の大手スーパーなどでも購入が可能です。
■住所 滋賀県近江八幡市大中町579
■連絡先 0748-46-3100
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