街道を歩くシリーズ2 東海道(とうかいどう)

2023年12月8日(金)公開

 

日本の交通の基礎ともいえる東海道

江戸時代の浮世絵にも登場

 

交通や物流の要所として栄えた滋賀県内の街道に注目し、その風情や佇まいを感じながら巡る「街道を歩くシリーズ」。前回紹介した中山道に続く2回目は、江戸時代の浮世絵「東海道五十三次」でも知られる東海道をピックアップします。街道の成り立ちや見どころについてお話しするのは、滋賀県土木交通部都市計画課の福井嘉昭(ふくい・よしあき)と安達智明(あだち・ともあき)です。後半には、街道周辺の観光スポットもご紹介しています。

 

 

京都~江戸間の往来だけでなく

伊勢神宮の参拝道としても栄える

 

江戸を起点にした5つの主要交通路である、五街道の一つ、東海道。江戸の日本橋から京都の三条大橋までを結んでいます。律令(りつりょう)時代から使われてきたとされ、江戸時代には旅人や大名行列など、多くの人々が行き交いました。現在でも国道一号線やJR東海道本線(名古屋~草津間を除く)など、東海道に沿ってつくられている道が多いことから、日本の交通の基盤ともいえます。
東海道は、中山道と同じく江戸時代に本格的に道が整備され、京都~江戸間の往来だけではなく、江戸から伊勢神宮参拝へ行くルートとしても栄えたといわれています。

 

 

福井嘉昭(左)と安達智明(右)。「大津や草津のあたりは県内の市街地であるため、宿場町としてだけでなくまち全体を楽しんでもらうこともできると思います」(安達)

現在、東海道沿いは都市化が進み、当時の街並みを残す場所は少なくなりました。しかし、絵画や書物に当時の風景が多く描かれ、往時の風情を感じることができます。その代表的な作品が、江戸時代に活躍した絵師・歌川広重による「東海道五十三次」や「近江八景」です。
東海道には、中山道と重なる草津宿と大津宿を含め5つの宿場町があり、お祭も毎年催されています。

 

 

 

東海道沿いの賑やかな

宿場町をめぐる楽しみ

 

(公社)びわこビジターズビューロー提供

滋賀県南西部にある大津宿のエリアがひときわ賑わうのは、毎年10月に催される大津祭(おおつまつり)。江戸時代初期に始まったとされるお祭りで、豪華な飾りをつけた13基の曳山(ひきやま)が大津市内を巡行します。祭りの当日になると、町家の2階からは曳山を見物する人々も。また大津は宿場町だけでなく、琵琶湖の水運に関わる港町、園城寺(三井寺)の門前町の要素を持ち、たくさんの商店が軒を連ねて「大津百町」と呼ばれるほど発展しました。現在でも町家を改修した宿泊施設やお店などがあり、宿場町があった当時の雰囲気を感じることができます。

 

また、JR草津駅から徒歩で約10分の場所にある草津宿本陣は、大名や公家などの宿泊所として利用されていました。東海道でほぼ完全に残っているとされる貴重な本陣の一つで、国の史跡に指定されています。
毎年ゴールデンウィークの時期には、草津宿場まつりを開催。イベントステージや屋台が出店するほか、時代行列も見どころの一つ。草津宿を経て江戸幕府13代将軍・徳川家定のもとへ嫁いだ篤姫など、歴史上の人物に扮した人々がまちを練り歩きます。

 

(公社)びわこビジターズビューロー提供

滋賀県南部、湖南市にあるのが石部宿。京都から江戸へ向かう旅人たちが、最初に宿泊したのがこの宿場町です。朝に京都を出て、東海道を進むと夕方に石部に到着することから「京立ち、石部泊まり」といわれていました。

 

滋賀県南東部の甲賀市にある水口宿は、江戸幕府の3代将軍・徳川家光が上洛の際の宿泊所として築城した水口城があり、城下町として栄えました。
同じく甲賀市内にある土山宿には、国の登録有形文化財指定の土山家住宅(土山宿本陣跡)があり、こちらも見どころ十分です。

 

(公社)びわこビジターズビューロー提供

昔から日本の交通の大動脈であった東海道。将軍や大名をはじめ、旅人たちに想いを馳せながら、ぶらりと散策してみてはいかがでしょうか。

 

 

 

東海道沿いのおすすめ観光スポット

 

 

 

1.大津市歴史博物館

 

大津市歴史博物館提供

大津市歴史博物館提供

常設展示では、大津宮、堅田・坂本・大津百町・膳所の町並み模型ほか、大津絵や近江八景など、文化・産業にいたるまで幅広く実物資料とともに紹介しています。

 

■場所 滋賀県大津市御陵町2-2
■問合せ 077-521-2100 
■営業時間 9:00~17:00(入館は16:30まで)
■休館日 月曜(祝日の場合は翌日)、祝日の翌日(土・日曜の場合は開館)、年末年始
■料金 一般330円、大学生・高校生240円、小・中学生160円
■ホームページはこちら

 

 

2.史跡草津宿本陣

 

史跡草津宿本陣提供
史跡草津宿本陣提供

東海道沿いで現在でも本陣の建物がほぼそのままの状態で残っているのは、草津宿本陣と愛知県豊橋市にある二川宿本陣のみです。草津宿本陣は内部を見学することができ、江戸時代にタイムスリップしたような気分を味わうことができます。

 

■場所 滋賀県草津市草津一丁目2-8
■問合せ 077-561-6636
■営業時間 9:00~17:00(入館は16:30まで)
■休館日 月曜、祝日の翌日(土・日曜の場合は開館)、年末年始
■料金 一般240円、大学生・高校生180円、小・中学生120円
■史跡草津宿本陣紹介ページ①はこちら
■史跡草津宿本陣紹介ページ②はこちら

 

 

3.湖南市東海道石部宿歴史民俗資料館

 

雨山文化運動公園提供

雨山文化運動公園提供

滋賀県南部の湖南市にある雨山文化運動公園内で、昭和60年(1985年)に開館した資料館。東海道五十三次図をはじめ、大名の網代駕籠や関札、宿帳など宿場町の歴史資料を展示しています。また江戸時代の旅籠、茶店、商家などが並ぶまちの様子を再現した「石部宿場の里」が隣接しています。

 

■場所 滋賀県湖南市雨山二丁目1-1
■問合せ 0748-77-5400
■営業時間 9:00~16:30
■休館日 月曜(祝日の場合は翌日)、祝日の翌日(土・日曜の場合は開館)、年末年始
■料金 一般350円、小・中・高校生150円
■湖南市東海道石部宿歴史民俗資料紹介ページ①はこちら
■湖南市東海道石部宿歴史民俗資料紹介ページ②はこちら

 

 

4.水口城跡(水口城資料館)

 

甲賀市観光まちづくり協会提供

甲賀市観光まちづくり協会提供

江戸幕府3代将軍徳川家光の上洛時の宿館として築城。その後、水口藩2万5千石の居城となり、湧水を利用した堀に水を備えていたことから、「碧水城(へきすいじょう)」の別名も。明治維新後、廃城となりましたが、平成3年(1991年)に再現され、現在は、水口城資料館として水口城に関する資料を展覧しています。

 

■場所 滋賀県甲賀市水口町本丸
■問合せ 0748-63-5577
■営業時間 10:00~17:00
■休館日 木・金曜、年末年始
■料金 200円
■水口城跡紹介ページ①はこちら
■水口城跡紹介ページ②はこちら

 

 

5.東海道伝馬館

 

NPO法人歴史の道 東海道宿駅会議提供

NPO法人歴史の道 東海道宿駅会議提供

東海道や土山宿の歴史を伝える資料館。江戸後期に建てられた民家を改装したもので、建物自体が貴重な展示資料となっており、毎年行われる「あいの土山宿場まつり」のメイン会場にもなっています。

 

■場所 滋賀県甲賀市土山町北土山1570
■問合せ 0748-66-2770
■営業時間 9:00~17:00
■休館日 月・火曜(祝日は開館)、年末年始
■料金 無料
■東海道伝馬館紹介ページ①はこちら
■東海道伝馬館紹介ページ②はこちら

シェアする:
記事一覧へ